先日2月15日は、LIXILテクノトレーニングセンターで開催していたイベントに参加しました。

こんばんはー『☆のキッチン研究所』所長の“KS-星の”です。

今回参加させて頂いたのは「LIXIL住設新商品内覧会 in 常滑」という今春の新商品の内覧会です。

(常滑市に有る LIXILテクノトレーニングセンター)
 

今回は特別セミナー≪東京駅赤煉瓦復原にみる「ものづくり」への情熱≫も拝聴させて頂きました。

講師はLIXIL広報部 文化企画G の後藤 泰男氏で、実際に当時プロジェクトに携わっていた方です。

 

JR東日本の東京駅丸の内駅舎保存・復原のプロジェクトでは、「駅舎の恒久的な活用を実現する

と共に、文化遺産である歴史的建造物を未来に継承する」というミッションの元に進められました。

そして、解体して建て直すのではなく 現存している駅舎の外壁など主要部分を可能な限り保存・

活用し、戦災時に消失した屋根と3階の外壁を新たに復原して 創建時(1914年)の姿を取り戻す

工事で"復元"では無く、あくまで“復原"(現存する建造物について、後世の修理で改造された部分

を原型に戻すの意)に、こだわった工事だったらしいです。
 


当時の日本建築界の第一人者【辰野 金吾】氏が「日本独自の装飾性を実現」をモットーに設計

した東京駅に採用したのが化粧煉瓦による外壁であり、当時もその厳しい審査基準の為歩留りは

4割程度だったらしいです。当然今回の復原に必要な化粧煉瓦に要求された課題は、当時制作

されたものに 如何に近似させるかという事だったらしいです。

 
その化粧煉瓦復原の3つの重要課題とは ・・・ 

①形状をピン角にする。(R=0) ②面状(テクスチュアー)はきわめて平滑で緻密→触手による検査

③6つの色ばらつきを再現(当時の化粧煉瓦の製造には5社が関っていた為 色合いのバラツキ有)

実際 上記の課題をクリアする為には、煉瓦を成形する型枠の特注、使用する土の選定、焼成方法

(特別な温度管理)などの研究やテストだけで 7年もの年月を要し15,000枚超の試作をしました。













しかしながら、求められる「明るい赤色」を再現する為には当時の焼成温度で焼成する必要があり、

生産窯のひとつをその化粧煉瓦焼成専用に条件を整えておかねばなりません。

そして、その期間は現在の商品である一般タイルの焼成が出来なくなるというメーカーとしての大きな

ダメージを危惧し、一度は「頓挫するプロジェクト」になりかかったエピソードも聞かせて頂きました。

最終的にはそれに敢えて挑戦する英断をし、(株)アカイタイルさんの協力を得て実現に至りました。

またディテールの納まりにも拘り、コーナー役物は手作業工程で生産されたものも有るそうです。

そして、生産期間はわずか2週間で 約50万枚を焼成し 2012年10月に竣工されました。












こうして実際の仕様で出来上がった化粧煉瓦のサンプルを手に取り目の当りにしました。

確かにその一つ一つは、歴史的建造物のほんの一部分を構成するパーツなのでしょうが、

その化粧煉瓦からは 創建時から今回の復原工事、さらには次世代へも継承されるであろう

「ものづくりへの情熱」を 感じ得る事が出来ました。
 

そんな情熱の結晶で「東京駅丸の内駅舎」は創建時の姿を取り戻し、これから先も日本の首都

東京のシンボルとして 皆に愛されてゆく事でしょう。

 

夜のライトアップした姿も 素敵ですね。
 
“星の”は復原された東京駅の実物は未だ見た事が有りません。   Hoshino