今年のGWお出かけは大阪日帰りドライブのみでした~こんばんはー"KS-星の"です。

以前当Blogで 東京駅の赤煉瓦復原について書いた事が有りましたが、今度は大阪の中之島で

レンガ造りの外壁を復元して建替えられた“ダイビル本館”を見て来ました。

旧“ダイビル本館”は今から90年以上前の1925年(大正14年)に当時西日本一の規模を持つ

先端ビルとして竣工。内外装はオリエント風を加味したネオ・ロマネスク様式の建造物の名作として

長年もの間 大阪 中之島のランドマーク的存在でした。そして、“ダイビル本館”建替プロジェクトは

単純なスクラップ&ビルドでは無く旧ビルの外観を復元し歴史ある佇まいを残す選択をしました。

旧ダイビル本館の外観は煉瓦と石彫刻が特徴的でしたが、解体時には約18万個の煉瓦を

手作業で取外して洗浄した上で保存し、北面・西面の外装材として95%以上再利用してます。

また、足りない部分は新しい煉瓦に古色エイジング処理を施し違和感なく仕上げられています。

煉瓦同様壁面を飾る石柱や石像などの石の彫刻はコンクリートごと切り出し、加工場で石の彫刻

部分だけをピース毎に丁寧に取外し、洗浄・補修の上表面劣化を防ぐコーティングを施してます。


なかでも、中央玄関廻りを飾るギリシャ風彫刻の施された石柱は一層格調を高めています。

そして、中央玄関の半円アーチ上に飾られた「鷲と少女の像」の像は、帝展審査員も務めた

彫刻家・大国貞蔵の作品。設計監督・“渡辺節”の下で製図主任を担当した“村野藤吾”は、

「このビルが取り壊されることがあってもこの彫刻だけは残してほしい」と生前語っていたとか。

中央玄関以外の壁や石柱にも随所に様々な動物やガーゴイル(怪物)などのロマネスク調の

レリーフで装飾されていました~ いずれもここで90年以上住みついているのでしょうね。      

  

玄関を入るとエントランスホールがお出迎えしてくれます。このエントランスホールの床タイルは

旧ビル一階のものを取り外して再利用しているそうで、デザインも当時に近いものとなってました。

「私設郵便函」(ポスト)も再利用品で、かつてとほぼ同じ場所に置かれ実際に使用しています。

2Fの回廊手すりは古い手すりの上に現行法に合わせる為にガラスを施工されていました。








エントランスの吹き抜け天井レリーフは緻密で豪華絢爛なものですが、この部分は既設のものを

型取りし新しく再現したもので、照明器具は当初のものに近い器具を制作して取付たそうです。

2Fにある カレーの人気店 “旧ヤム邸 中之島洋館”の玄関ドア~

大正時代のレトロ感と現代的なインテリアの調和を目指した“ダイビル本館”で店舗を構えるには

それなりの覚悟が必要でしょうね~リアルなアンティークドアは異人館風でとてもマッチしてました。

“ダイビル”西側には、四季折々の自然を感じられる憩いの空間「中之島 四季の丘」があり、

ここにはウメ・サクラ・ヤマボウシ・モミジなど季節感を感じる樹木や花が植えられています。

そして、丘の頂上部からは堂島川の遊歩道へ繋がる歩行用のブリッジにも接続されています。

“ダイビル本館”東側は地上22階建ての高層部で、こちらは近代的なガラスのカーテンウォール

ですが、玄関にはこちらにもそびえ立つ石柱と半円アーチ状のレリーフの施しが有りました。

歴史的建造物の新しい再生の形を実現した“ダイビル本館”はその他にも、河川水を利用した

地域冷暖房システムの採用など、最先端技術で環境との共生にも注力した建造物となってます。

そして、建築の魅力を広く伝える「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」にも選定されました。

旧ダイビルの構造計算を担当した“内藤多仲(たちゅう)”氏は東京タワーや通天閣(2代目)も

担当されていた当時の構造設計の第一人者だったらしい・・・・Hoshino